津田左右吉「古事記及び日本書紀の研究 完全版」

 読み終えた本について。


 名著を復刊させたモノ。


 元々は大正8年に刊行された。歴史学の専門書である。内容的には古事記と日本書紀を科学的に考察するモノで、現在の歴史の本を読み慣れた三からすると、極めて普通の内容ではあるが、昭和15年に所謂「津田事件」のあおりで発禁処分となっているのは有名な話。神代や上代の話が実在性が乏しいと分析したら「皇室に対して不敬だ」と相成ったわけだ。でも、読めば分かるが、著者は決して皇室に対する敬いの気持ちが無かったわけではない。そこだけは誤解の無いようにしておく。まぁ、だからこそ、勘違いした連中が「広告塔」に祭り上げようとした時に拒否したりしたのだが・・・・・・。この辺の事情は網野善彦の著書で知ってはいたが、その元ネタとも言える本をこうやって読む事が出来たのは感慨深い。


 って、閑話休題。


 津田左右吉は、明治、大正、昭和と激動の時代を渡り歩いて歴史研究に一生を捧げた人なのだけど、明治以降の近代歴史学の学者としては第二世代に当たって、ちょうど第一世代の学者の薫陶を直接受けた世代に当たる。


 なので、第一世代の直感で吟味する部分と、彼の後に続く世代の学者にある客観事実を積み上げて科学する部分の両方を持ち合わせている。


 この本でも、直感で書いている部分は多いが、憶測はちゃんと憶測と記載している。でも、逆に「決め付け」も見られ、邪馬台国の位置の比定などどうしても時代を感じて仕舞う部分がある。


 90年前の本ではあるが、若い人の本を読んでいるのと余り感覚的に変わらないところが凄い。


 ある意味、現代歴史学の開祖ともいえる部分を持ってる人の本を読めたこと自体が感慨深い。

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