上野正彦「ずっと死体と生きてきた。」

 読み終えた本について。  元監察医による事件ルポ。  というより、この本はルポを中心としたエッセイといった趣き。  三部構成となっていて、  最初が、自殺の話。  法医学者から見た自殺の実際を微に入り細に入り書く。これは決して、自殺の手法を知らせて、自殺したい人の背中を押そうとしているのではない。全く逆で、自殺体の悲惨さ惨たらしさを知らせる。さ…

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上野正彦「死体は知っている」

 読み終えた本について。  著者の角川書店からのシリーズ第二弾。  この本も事件ルポではあるけど、法医学についての蘊蓄や、自身が講義を持つ看護学校などの話や、法医学の技術的な話など、その他も含む。基本的に自分が現役時代に扱った事件を主として扱っている。  そして何よりこの本が特徴的なのは小説を書いていること。自身の体験を架空の監察医を主人公に小説にしている。 …

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上野正彦「死体検死医」

 読み終えた本について。  遂に、約1年前に買った本を読み始めた。  「死体は語る」でお馴染みの上野正彦の本を三冊買っていた。その内の1冊。  角川書店からシリーズ第四弾。  自分が扱った事件の概要をしたイボ解剖を通して語るのでは無く、この本は、色々内容が多岐に渡っている。ただこの本で新しい点は、彼が監察医を退官して、テレビのコメンテーターとかで扱った案件…

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似鳥鶏「名探偵誕生」、草薙厚子「少年A 矯正2500日全記録」

 読み終えた本について。  一昨日書けなかった分もあるので、2日分として2冊の話を書くこととする。  まずは、似鳥鶏「名探偵誕生」  この話は、最後の最後で全てが腑に落ちて、題名の確かさを認識できる作品だった。それまでは、日常の謎を扱った新本格派推理劇だった。ただ、途中までは、「誕生ってなんや」状態だった.」後、最後の25章分で突然殺人事件を解決するのも似鳥鶏っぽい。 …

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井上真偽「探偵が早すぎる(上)(下)」

 読み終えた本について。  今回は、井上真偽の新本格派になるのかジャンルとしては・・・・・・、な上下巻。  まぁ、分類的にはライトミステリーの類いなのだろう。  しかし、最近本格派界隈ではライトと非ライトの境が分からないので、個人的にはどちらでも良いというか、多分どちらのファンにも楽しめる内容だ。  だからこそ、深夜ドラマになったのだと思う。  …

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桜井進「面白くて眠れなくなる数学」、街山みほ写真集「Scarlet」

 読み終えた本について。  金曜日に書かなかった分を一緒に書いておくので、今日も2冊分。  数学の本と写真集について。  まずは数学の本から。この本は、数学に興味を持って貰おうとした作品。なので、算数的な話から、難しい理論の話、数学者の伝記と雑多な内容をごった煮で扱う本となっている。内容は広く薄く。なので、興味を持てない部分は斜め読みしてしまったが、割りと、著者の本…

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アガサ・クリスティ「ABC殺人事件」

 読み終えた本について。  アガサ・クリスティの傑作。  クリスティの中期の傑作と呼ばれているのは知っている。というより、話の展開というか、仕掛けが非常に有名なことで有名な小説。  このスタイルが真似してみたくなるスタイルなのだと思う。でも、それ以前に、この作品を読んでみて分かった。この作品は魅力的だという事が。本格派推理劇の王道であるし、関係者がみんな集まるスタイ…

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逢坂剛「まりえの客」

 読み終えた本について。  男と女の関係をテーマにしたサスペンスの短編集。全部で6編収録。  白眉は最後に2編収録されているスペイン物。ただし、最後のは東京が舞台のスペイン物で、小説内小説を登場人物と一緒に読んでいく趣向となっている。  テーマを男と女にに絞るとどうしても出版された1990年代の前半としては古くさいというか、昔のハードボイルド的な造形となるが、それで…

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米澤穂信「ふたりの距離の概算」「遠まわりする雛」、田中芳樹「窓辺には夜の歌」

 読み終えた本について。  米澤穂信の「古典部」シリーズ第三弾と第四弾。  田中芳樹の「夏の魔術」シリーズ第二弾。  昨日書きながら寝てしまったため、今日は2日分書く。  古典部シリーズは、短編集と長編。短編集は第一長編から第三長編までで書かれていた期間にあった長編では書かれなかった出来事を書く。長編は、続きが描かれている。思ったことはこの著者の短編には好…

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似鳥鶏「卒業したら教室で」、東川篤哉「中途半端な密室」

 読み終えた本について。  昨日は書くことが出来なかったので、今日は2作品2日分書く。  まずは、似鳥鶏「卒業したら教室で」。  著者のデビュー作である「私立高校シリーズ」の第六弾(冊数としては7冊目)。ここでは遂に節目を迎える。でも別に完結ではない。後書きに寄ればまだまだ続く。4年振りの新作。ただいつもと趣向が違う。色々と趣向を凝らして、複数の話を行ったり来たりしている。…

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似鳥鶏「青藍病治療マニュアル」

 読み終えた本について。  SF設定を持つ連作短編のサスペンス。  全4話。  最後の4話目では著者の大好きな叙述トリックが仕掛けてある。  この話は「異能症」という通称「青藍病」と呼ばれる病気に罹患した人を主人公とする話。4話共に共通して登場するのはその病気を研究する医師の静さん。症状は様々だけど、心の病気との関連性がある。共通するのは、発作は対象が「青…

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島田荘司「幻肢」

 読み終えた本について。  この作品は映画になって(というか映画の原作として書かれた)、谷村美月が出ているという事で非常に観たかった。  でも、結局観ることが出来なかった。  未だに観ていない。  で、遂に原作を読んでしまった。  だから、この小説の原作とも言うべき映画を観てないのにいうのもおこがましいが、個人的には本作の設定の方が良さそうに感じ…

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海堂尊「医学のたまご」

 読み終えた本について。  桜宮サーガの脇の話。  2008年刊行だけど、舞台になってるのは随分先の話。なんせ田口センセイが教授になってるし主人公が曾根崎伸一郎の息子だし、アツシが高校生だしで、なんか調べてみると2022年だそうだ。  まぁ、そうするとアツシが高校生ってのが合わないけど・・・。  この本の中身の話は、最初に書いた刊行年のことを考えるとこの本も予…

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島田荘司「斜め屋敷の犯罪 改訂完全版」

 読み終えた本について。  御手洗潔シリーズの長編第二作。  新本格派に館物という生み出した記念碑的作品だそうだ。  しかし、それまでの館物というのは旧家のお屋敷というのが定番だったが、ここでは別の理由が。  ここが凝っているし話のミソだったりする。  だから面白い。  そして、なんといってもこの話の新しさはそもそも探偵と助手、残り3分…

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山崎怜奈「歴史のじかん」

 読み終えた本について。  著者が出演したネットの配信番組全50回の内、14回分を抜粋して書籍化したモノ。  それぞれの回に書き下ろしコラムが付いていたり、巻頭巻末に著者のグラビアが掲載(当然書籍の内容に合わせたフォトセッション)されていたりで、フォトエッセイの様相を呈しているが、番組と同じ、アイドルが専門家にその回のテーマについて「どうなん?」と聴くモノ。  応仁…

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堀江宏樹、滝乃みわこ「乙女の日本史 文学編」

 読み終えた本について。  同著者による「乙女の日本史」の続編。  今回は文学史。  かなり笑い飛ばせる文学史となっている。  万葉集を起点として、川端康成まで一気に語り尽くす。ここで分かることは、日本人の感覚って昔から変わらないという事。江戸時代くらいまでは結局の所王朝文学で、恋愛小説に収斂されていくので、最近テレビやSNSで話題になっていることを1000年…

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山田淳一「日本史のおさらい」

 読み終えた本について。  今回も歴史の本。  自由国民社が「現代用語の基礎知識」創刊60周年記念に刊行したシリーズの内の一冊。  中学校の社会科で取り扱う日本史をサラッと復習するための本。  通史を200ページ弱のコンパクトに纏めている。  コンパクトに纏められた要因はバッサリ切り捨てられるところは切り捨てたという事だろう。政治史中心。文化史は…

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加藤文三、石井郁男、市川真一「これならわかる日本の歴史Q&A ②鎌倉‐江戸」

 読み終えた本について。  日本史の通史をQ&A形式で追うシリーズの2巻目。全3巻だけど、1巻と3巻はまだ手に入れてない。  ハッキリ言うと、アイデア商品。  鎌倉から江戸に掛けてなので、中心は中世。中世が好きなのでこいつから読んでみたが、内容としてはQ&Aに向く事項とそうでないのがあるので、内容としては偏りがある。  ただ、教科書的な内容を一通り知った後…

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爆笑問題「爆笑問題が読む龍馬からの手紙」

 読み終えた本について。  爆笑問題の歴史本。  坂本龍馬の手紙を爆笑問題と共に紐解こうという趣旨。  送り主別に9章仕立てとなっている。  しかし、手紙はあくまでも章のテーマで爆笑問題の2人が送り主や坂本龍馬やメインの手紙をネタにフリートークを繰り広げるもの。なので、爆笑問題の日本史本として有名な「日本史言論」と似ているけど決定的に違う。  そ…

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堀五朗「BL新日本史」

 読み終えた本について。  日本史をBL視点で語った本。  日本の歴史の全ては語れないけど、有名処はこれでしっかり押さえられる  しかし、BLと男色は違うのだけどなとか、男ばかりの世界だから致し方無しとか色々想う。  同性愛にしても異性愛にしても結構えげつなく書かれているのが神話だったり、この本でも随所で触れられている稚児の事とか、BL目線で見えそうな所は…

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加来耕三監修・岸祐二著「手にとるように日本史がわかる本」

 読み終えた本について。  今日は歴史の本。  通史本。  お手軽な初心者向けの本といった趣か?  著者が近現代が得意な人なので、そちらに傾いているのは仕方が無いが、特徴的だったのは、幕末がやたら詳しかったことだ。兎に角、ここまではひたすら駆け足だった。ぶっ飛ばして高速であっという間に幕末まで来て詳しく幕末書いて、後は明治以降はそれなりにで終了と。そんな感…

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神崎清「革命伝説 大逆事件」全4巻

 読み終えた本について。  大逆事件のルポタージュ。  全4巻の大著。  一次資料を読み込んで関係者にインタビューを重ねて書いた、これ以上無いくらい詳しい作品。  著者は社会主義者なので、社会主義者側の言い分という事になる。  メインの爆裂弾での明治天皇を襲撃する計画をした者達は致し方ないが、その他については社会主事者弾圧というか社会主義者憎しで…

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島田荘司「占星術殺人事件 改訂完全版」、海堂尊「ガンコロリン」

 今日は先日このブログを書けなかった日があったが、その日に書きたかった読んだ本についての話も一緒にして2冊分書く。  まずは、島田荘司の「占星術殺人事件 改訂完全版」。  デビュー作。  そして、代表作ともいえる御手洗潔シリーズの第一作。  新本格派推理劇によくある「作者から読者への挑戦」付き。  ここで描かれている御手洗潔は超人だ。事件解決の糸…

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海堂尊「ナニワ・モンスター」

 読み終えた本について。  海堂尊の桜宮サーガの最終部分の裏話シリーズの第一弾。  要は、先日読んだ「スカラムーシュ・ムーン」の前日譚。  基本著者はAiを日本に根付かせるための活動の手段として小説を書いているので、この小説も結論はその方向なのだけど、たぶん、ちょうどこの話の前くらいに世界的な話題となっていた新型インフルエンザの事を受けて書かれたのかと考えた。しかし…

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長野まゆみ「少年アリス」「改造版 少年アリス」

 読み終えた本について。  今日は、長野まゆみの処女作と、そのリライト版。  アリスと蜂蜜のコンビが夜の学校を探検するという冒険ファンタジー。  オリジナルの方は文体も古めかしい事も相まって、極めて宮沢賢治を感じさせる。  改造版は、その古めかしさを後退させて現代文で読みやすくしてある。そこで、冒険ファンタージーの色は勿論残っているが、極めて現代的な学園も…

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川瀬七緒「147ヘルツの警鐘 法医昆虫学捜査官」

 読み終えた本について。  法医昆虫学捜査官シリーズ第一弾。  法医学的に手がかりを虫に求めるミステリー。  昆虫学者が捜査に協力というか、トップダウンで欧米でも実例のある法医昆虫学ってのを先生の協力の下やってみようではないのって話。  主人公の赤堀准教授は、さすが昆虫学者という事も有って、警察官以上にフィールドワークをこなす。  そう、こういった小…

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てにをは「古書屋敷殺人事件 ―女学生探偵シリーズ―」

 読み終えた本について。  ボカロ曲のノベライズ。  前作があるが、実は曲のノベライズという意味ではこの作品が当該作。  前作は曲の前日譚だったそうだ。  この作品は舞台になったのが田舎の旧家という事で、極めて横溝的。  ゴニョゴニョなラストとかまさにそう。  ラノベ的軽快感とのミスマッチがこの作品の独特の世界を作っている。 …

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逢坂剛「幻の祭典」

 読み終えた本について。  スペイン物の冒険小説を主戦場とする著者の1993年の長編。  舞台はバルセロナ。  そう、1992年のバルセロナオリンピックの周辺をネタにした作品だ。  1936年の人民オリンピックについて扱った話。  ここから冒険小説を書こうとするのは、逢坂剛でないと出来ないことだなぁ。  人民オリンピックについてはカザル…

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周大荒「反三国志」

 読み終えた本について。  今回は昔持っていた本。  今は亡くなってしまったので、もう一度購入して読んだもの。  三国志を題材とした歴史if小説。  100年くらい前に中国で書かれた。  もしも蜀が漢を中興できていたらの問いに答えたような作品。当時の中国の政情を憂えていた著者が、三国志の蜀に自らの思いを仮託したモノという評価があるのは知っているが…

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東川篤哉「館島」

 読み終えた本について。  東川篤哉の初期の烏賊川市シリーズでない単独作品。  東川篤哉の館モノで孤島モノという彼の初期作の典型である欲張りな新本格派推理劇。  作風が確立する前のトリック在りきで考え出されたストーリーという、非常に新本格派らしい作品だ。  彼の根底をしっかり認識できる作品。  でも、そこは東川篤哉。コミカル。ひたすらコミカル。主…

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