船戸与一「夜のオデッセイア」

 読み終えた本について。  船戸与一が亡くなってから6年になるが、少しずつ彼の作品を読み返している。持ってない本は手に入れたりした。大好きな作家なので全部読みたい。後2冊になっている、持ってないのが・・・・・・。  で、やっと長編第三作を読み終えた。  1981年の初期の傑作。  個人的にも大学生の頃に文庫本で買ってボロボロになるまで読み続けた作品。今風に…

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ダシール・ハメット 船戸与一・訳「闇の中から来た女」

 読み終えた本について。  ダシール・ハメットの第四長編。  船戸与一が訳したという事で読んでみた。  短い作品だ。  しかも、割とステレオタイプだし。  でもこれって現代の感覚での話だ。  単純なプロットの話が実は当世の政治批評だったりするのは、今では割とという話。  まぁ、だからこそ、船戸与一が訳したのだろう。他のどの長編…

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森詠「冬の翼」

 読み終えた本について。  今回は、森詠の青春冒険小説。  今や、色々書く人になってしまったが、1980年代の彼の主戦場は青春小説と冒険小説。1989年出版のこの作品は内容はこぢんまりとしているが、その二つを融合した集大成の作品となっている。  内容的には主人公が行方不明となった父を探しに旅立つ話。  主人公ご一行の巻き込まれ型冒険小説という典型。 …

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帚木蓬生「日御子」

 読み終えた本について。  帚木蓬生の最近作。  彼は色々な作品を書いてるのだけど、今回は歴史小説。しかも、卑弥呼物のように見せて主人公は違う一族の悠久の大河小説という。  最初取っ付きにくかったが、読んでいく内に馴れて読むスピードも上がった。  そして、題名の話。  これは「やまたいこく」の「ひみこ」の話ということだけど漢字の当てている字が違う…

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麻見和史「賢者の棘 警視庁捜査一課十一係」

 読み終えた本について。  「警視庁捜査一課十一係」シリーズ第十三弾。  纏めの話。  色々ひっぱてきた話がなんとかなる。  という事で、だから、ここに来てシリーズ全体に張っていた伏線が回収された。  このまま次に向かうのかな。  長寿シリーズとなりつつあるので、この先は次なるネタが出てくるのかな? 広島ブログ

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島田荘司「切り裂きジャック・100年の孤独」

 読み終えた本について。  1988年の西ベルリンと1888年のロンドンをリンクさせたミステリ。  1888年の方は事件ルポの体裁をとっているが,これが1988年の事件を解く鍵ともなっている。  ここで、著者は1888年のロンドンで起きた「切り裂きジャック」事件の大胆な仮説を開陳する。そして、フィクションの1988年の事件にそれをトレースしてみせる。そこが見事という…

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武田鏡村[監修]「龍馬と十人の男たち」

 読み終えた本について。  久々の歴史物。  今回読んだ本は,十人の執筆者により、坂本龍馬の生涯を彼と関わり合いのある十人と共に語る本。一人が一人ずつ紹介。  近世史や近代史の学者による本ではなく、作家や評論家といった兼業の研究者十人にそれぞれ語らせるスタイルを取っている。  なので、読み手としては同じ坂本龍馬の生涯を10回読まされた様な形となっている。 …

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佐野眞一「阿片王 満州の夜と霧」

 読み終えた本について。  久し振りに佐野眞一の本を読んだ。買って随分積ん読にしていた。この作品と対とも言うべき「甘粕正彦 乱心の曠野」はとっくの昔に読んでいたのにだ。  著者が前世紀末くらいから興味を持って取材を進めていた満州についての最初の成果。  里見甫の伝記・・・・・・、というより評伝だ。兎に角関係者を探しては取材して証言を得て裏を取る。その過程を克明に記録…

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田中芳樹「夏の魔術」

 読み終えた本について。  田中芳樹が銀英伝終了後に次を始める間に書いたファンタジー作品。というか、伝奇小説。  この作品昔新刊で買って読んでいたのだけど、いつの間にかなくしてしまったので再購入。凄く久し振りに読んだ。  全3巻だったっけ?  その第1巻。  ファンタジー。  宮沢賢治的ファンタジーと思わせておいて、実は違ったというのが…

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七尾与史「ドS刑事 二度あることは三度ある殺人事件」

 読み終えた本について。  ドS刑事シリーズの第七弾。  ここ数作が番外編的な内容だったので、久々の「らしい」筋の話だった。ただ、主人黒井マヤのネの当初の性格は薄いが、今回の姿を見て「戻ってきたなぁ」と感じた。  しかし、これがデフォだと感じる読者の私もなかなかのモノだ。  でも、いつもの雰囲気が少しだけ戻っている。  それが魅力だ。 広島…

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似鳥鶏「そこにいるのに」

 読み終えた本について。  推理作家によるホラー短編集。  全13編の比較的短い作品が収録されている。  ポーの例を引くまでもなく推理作家とホラー作品の親和性はよく知られている訳だが、この作品もその例に漏れてはいない。  どの作品もトビキリ怖いわけではないが丁寧に書かれた「うまい」作品集だ。  これは大部分の作品が連作短編のミステリー伴っている仕…

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一橋文哉「三億円事件」

 読み終えた本について。  今回も事件ルポ。  1968年の年末の冬のボーナスを輸送する銀行の現金輸送車を狙った現金窃盗事件のヤツ。  取材と大胆な仮説から犯人を推理し、最後は直撃するというモノ。  ただ、尻切れ蜻蛉。  まぁ、30年後に取材し書いたモノなので、著作の途中で模擬散られているが、取材自体がかなり困難だったよう。でも、犯人を推理するこ…

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似鳥鶏「100億人のヨリコさん」

 読み終えた本について。  角度によってジャンルが変わるなんともいえない作品。  要は大学の寮生達が世界を救いに行く話。  謎を解くミステリーの側面、パニックサスペンスの側面、独特のSF的側面もある作品。  メインは青春冒険小説的な側面がある。  書き振りはかなりライトだが。内容的には、謎を解く事が、○○に繋がるというよくあるパターンながら、しっ…

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柴田哲孝「下山事件 最後の証言 完全版」

 読み終えた本について。  下山事件に関するルポタージュ。  自らの祖父が事件に関与したのではないかという事で取材を始めて、ある程度の結論が出たので出版。その後、文庫本化までの間に更に追加事項が発生したので、加筆修正したモノがこれ。  共同で取材した3人がそれぞれ出版している下山本の内の一つ。  有り体に言えば、力作だが惜しい。  取材はしっかり…

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稲場るか写真集「明転」

 読み終えた本について。  今日は写真集。  稲場るかの2nd写真集。  前作に比べたら横這いかな。  折角の素晴らしい表情と肢体を持ってるのに、今回は化粧が合ってないように感じた。どう合ってないのかは読んでない人のためにいわないが、そこが残念に思った。  ただし、主観だが・・・・・・。 広島ブログ

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架乃ゆら「ゆらら」「たまゆら」「ゆらMemories」「悪戯」

 読み終えた本について。  今日は架乃ゆらの写真集4冊。  なんか欲しくなって買った。  ここの所ボブカットにしている彼女のグラビアとかみて興味を持った。  で、4冊写真集が出ているのを確認して買ったというわけだ。  全て一長一短有るが、トータルでは「買って良かった」と思っている。  割と色々やっている。  様々なパターンが駆…

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早稲田大学ベーリング・アラスカ遠征隊=佐藤政信、原田建司、小島臣平「アラスカ・エスキモー」

 読み終えた本について。  船戸与一の読んでいない本を手に入れて読んでいくプロジェクトを今展開しているが、その一環として手に入れた本。  これは、彼が大学生の頃に著者の一人として参加したルポタージュだ。  細かい経緯はこの本のネタバレに伝わるので書かないが、早稲田大学ベーリング・アラスカ遠征隊が3回に渡ってアラスカのエスキモーの定住する町に滞在した記録だ。 …

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七尾与史「表参道 リドルデンタルクリニック」

 読み終えた本について。  歯科医を主人公にしたミステリー。  著者が歯科医なので、歯医者に関する事はリアルだけど、なんか、彼の持つ「理想の歯科医」を自らの作品ないで開陳された気になった。というか、それが目的の一つかと・・・・・・。  内容は至ってシンプル。  狂言回しの歯科衛生師と歯科医がタッグを組んで事件を解決するバディ物で3話収録の連作短編というか、…

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斉藤寅「世田谷一家殺人事件 侵入者たちの告白」

 読み終えた本について。  「上祖師谷三丁目一家4人強盗殺人事件」の2006年のルポタージュ。  色々批判されて、警察からもハッキリ否定された本だけど、かなり具体的な犯人についての情報が書いてあったので、著者の取材は綿密であったことは窺える。  ただ展開が都合良すぎるのは否めない。  だから、賛否の否の方の派閥は否定しやすいのだろう。  どんどん…

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半藤一利「運命の八月十五日 日本のいちばん長い日 〈決定版〉」

 読み終えた本について。  先月亡くなった著者の本が積ん読になっているの気付いたので読んだ。  1965年に出版された著者の処女作に30年経ってその間の巷間の研究成果を付加したり修正したりして「決定版」として出版されたモノ。  著者自身は雑誌編集者上がりの作家で、雑誌の企画から今回の作品も生まれている。  タイトルからすると近代史の一般書と思うが、実際はル…

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ダシール・ハメット「影なき男」、アーサー・コナン・ドイル「バスカヴィル家の犬」

 読み終えた本について。  今日は木曜書けなかった分と合わせて2作の本について。  両方とも海外の翻訳本。  ハードボイルドとミステリー。  まずはハメットの「影なき男」だけど、これは彼の長編最終作。割と激しい作品の多い彼の作品にしてはライトな当たり口の作品。まるで二時間ドラマにすれば良いような作品。だからか、映画化されたらヒットしてシリーズ化もされたそう…

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豊浦志朗「硬派と宿命 はぐれ狼たちの伝説」

 読み終えた本について。  1975年の豊浦志朗の処女作。  たった2作しかない著者だが、別ペンネームでその後小説を書き成功する。  この作品はルポタージュだが、小説と本質は同じ。  叛逆者を好み、彼らの立場に立脚してで描くところが・・・・・・。  しかも、少年漫画的なヒーローストーリーではない。  弱き者が強き者に挑み破れゆく様を描く…

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森詠「燃える波濤 明日のパルチザン」「燃える波濤 冬の烈日」「燃える波濤 烈日の朝」

 読み終えた本について。  「燃える波濤」六部作の後半3作。  ただし未完。  前半の三部作は情報冒険小説の傑作だけど、後半は4作目がハードボイルドで、5と6が1~3と同等の路線。  これから最後の展開にという所で終わっている。  早く続きが・・・・・・、と思って既に30年。  勿体ない。 広島ブログ

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米澤穂信「クドリャフカの順番」「愚者のエンドロール」

 読み終えた本について。  米澤穂信の古典部シリーズ第二弾と第三弾。  第二弾は工夫されたミステリー。小説内に内包されたミステリーが小気味よい。  第三弾は工夫を考えるミステリー。殺人は起きないけど、とある有名な連続殺人モノの古典ミステリーの本歌取り。  相変わらず暗い話だが、どちらも高水準のミステリー。  相変わらず、青春モノが似合わない。 …

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海堂尊「氷獄」

 読み終えた本について。  桜宮サーガの番外編。  短編集。  角川書店のシリーズ。そう。つまり、「螺鈿迷宮」と「輝天炎上」の流れにあるシリーズという事になるのかもしれない。  実際にそういった短編も含まれている。  構成としては短編3作に中編1作。  表題作が中編。  後、短編は1作を除いて、やはり「螺鈿迷宮」と「輝天炎上」…

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七尾与史「すずらん通り ベルサイユ書房 リターンズ!」

 読み終えた本について。  ベルサイユ書房シリーズ第二弾。  前作は短編だったけど、今回は長編。  今回は脅迫事件を主人公とバディが解決する。  主人公はどちらかというと助手役。バディが冴えた探偵役という組み合わせ。  これは、ミステリーのパターンとしては展開がめまぐるしく変わる作品。 広島ブログ

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七尾与史「死なせない屋」

 読み終えた本について。  七尾与史の単独作。  死なせない屋という職業が中々ツボなラノベ的ノリのサスペンス。  サクッと読める。  で4も、人を死なせないために医学知識が駆使されるのはこの著者ならではだ。  で、結論。  面白かった。 広島ブログ

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逢坂剛「鏡影劇場」

 読み終えた本について。  逢坂剛の岡坂神策シリーズではないビブリオミステリー。  著者の作品らしく2ッノ時間軸を同時並行で話が進む。  今回はビブリオミステリーという事で、本にまつわる話。そこに、血脈の話を濃く濃く絡める事によって個性を際立たせてる。この家族等の血脈に関わる話が出てくると彼の作品を読んだ気になる。  700ページに渡る大作だが、あっという…

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逢坂剛「牙をむく都会」

 読み終えた本について。  逢坂剛の小説。  岡坂神策シリーズ第七弾にしてシリーズ長編第四弾。  この辺りから、このシリーズは元々あった著者の趣味の蘊蓄披露の度合いが大きくなってきた。  今回は、ウエスタン映画とスペイン内戦。  今までもスペイン内戦の事については大きなテーマだったのだけれども、今回から、新たに映画が加わる。それまで岡坂探偵、そん…

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海堂尊「玉村警部補の災難」「玉村警部補の巡礼」

 読み終えた本について。  桜宮サーガの番外編。  桜宮サーガ中メインの話である「田口・白鳥」シリーズの第二弾、「ナイチンゲールの沈黙」依頼の孟準レギュラーと化している加納・玉村コンビの玉村を主人公に据えた警察小説な短編集「玉村警部補の災難」と、その続編の「玉村警部補の巡礼」について。  兎に角推理モノ。結構ストレートなミステリー。  探偵役に加納を据えて…

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